奈良県立医科大学医学部医学科
同窓会 会長
高橋 優三(昭和49年卒)
私、奈良県立医科大学医学部医学科の同窓会長を2023年6月より拝命いたしました。卒業以来50年の月日が流れており、その間、日本とアメリカで研究と臨床に携わり、貴重な経験をしました。これは、母校での6年間の学業や出会った先生方の影響が基盤になっているのは明らかで、その意味で私は母校に感謝の念と誇りを持っております。それゆえ、同窓会長の任を与えられたのを機会に、医学・医療に関してこれまでに学んだ事を活かして、同窓生や母校の名声を高める事に寄与する気持ちを新たにしております。
日本には82の医学校があり、それぞれの医学校にはそれぞれの評価があります。その評価の高低にかかわらず、卒業生の卒業直後の能力には大きな差が無い、というのが私が持つ印象です。運命の差は、卒業後にどのようなチャンスや人と出会うかによって決まります。その意味で、卒業生がそれぞれの職場で奮闘していただく必要があるのですが、同窓会の果たす役割も無視できません。時代の状況は驚くほど速く変わりますので、同窓会の模索は常に更新が必要です。
さて、その同窓会の活動ですが、基本は親睦です。同窓生には、「同じ釜の飯を食った」とか「利害関係を考える事無しに付き合った」のような体に滲み込んだ絆があります。同窓生には、この一見、非合理的・前近代的に思えるような人間関係を大切に、合理的・近代的な医学の世界で羽ばたく事を期待しています。
同窓会活動をトライアングルで示しますと、相互の親睦、同窓生の生涯学習、社会や母校への貢献が相互に影響・補強する形になります。奈良医大を卒業し、いわば臍の緒を切られた後も、私どもはプロとしての責任を果たすために成長せねばなりません。そして社会的に恵まれている者の責務も果たさねばなりません。これをどのように実現するのか、それが同窓会が探し求めるべき見識と考えています。
日本や異国の地で、現在も未来も、奈良医大の卒業生の活躍が特段の言葉で語られるように同窓会は力を尽くします。
令和5年8月